Manifesto思想Frameworks理論Labs実験室Research調査Fieldwork現場Books書籍About著者EN

第6章

第六章 AI時代に場所はどうなるか

6-1 AI検索と場所の発見

2024年以降、生成AIを使った検索が急速に普及している。「那須で犬連れで入れるカフェを教えて」「黒磯でひとりでゆっくりできる静かなカフェは」。こうした自然言語による検索に、AIが答える時代になった。

この変化は、場所の発見に大きな影響を与える。AIが推薦できる場所は、AIが「説明できる」場所である。Google Mapsに情報が整備されている。写真がある。営業時間が明記されている。こうした情報が揃っていれば、AIはその場所を正確に推薦できる。

6-2 AIに説明されにくい場所の問題

情報が整備されていない店舗は、AIの視野から外れていく可能性がある。那須の個人店の多くは、情報発信に十分なリソースを割けていない。そのため、実際の魅力とは無関係に、AI検索の推薦候補から外れるリスクがある。

しかし、動画は違う。動画には、光・音・動き・空気感が収められている。Save → Plan → Impulseの実験でも、テキスト情報のない「空気感」だけの動画が、強い保存・計画・衝動行動を引き出すことを確認した。人は、言語化される前の感覚的な情報に反応する。

6-3 AI時代における観光記憶圏の課題

AI時代に、観光記憶圏をどう「見える化」するか。これが実践的な課題として浮かび上がる。

Google Mapsの公開情報を整備し、写真を充実させ、AIが読み取れる形で地域の世界観を記述する。これは、観光記憶圏を維持するための新しいインフラ整備だと言えるかもしれない。

次の章では、この課題への実践的なアプローチとして、観光記憶圏指数(TMZ Index)という概念と、日本各地への試験的な適用を試みる。