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第9章

第9章 毎日10分でできる3SNS同時動画戦略 —— SNS動画は、気合いでやらない

SNS動画で一番多い失敗は、最初だけ頑張って止まることです。

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続かないSNSには、理由がある

SNS動画で一番多い失敗は、最初だけ頑張って止まることです。

最初の一週間は投稿する。

一ヶ月くらいは頑張る。

でも、営業が忙しくなる。

ネタが尽きる。

編集が面倒になる。

反応が少なくて落ち込む。

ほかの仕事が優先になる。

そして、気づいたら止まっている。

これは、店主の根性がないからではありません。

仕組みがないからです。

SNS動画は、気合いで続けるものではありません。

営業の中に組み込むものです。

もっと言えば、毎日10分でできる形にするべきです。

小さなお店のSNS動画は、店主の仕事を増やすためにあるのではありません。

本来の営業を邪魔してまでやるものでもありません。

料理を作る時間。

接客する時間。

掃除する時間。

仕込みをする時間。

スタッフと話す時間。

そういう本業の時間を壊してしまうSNS運用は、長く続きません。

だから、本書では「毎日10分でできる3SNS同時動画戦略」を基本にしたいと思います。

1日10分。

スマートフォン1台。

同じ素材を、Instagram、YouTube Shorts、TikTokに出す。

ただし、見る数字と意味は分ける。

これなら、忙しいお店でも始められます。

完璧な動画制作ではなく、無理なく続くルーティンを作る。

ここが重要です。

私は、なすぱらTVで大量の動画を作り続ける中で、ここを強く感じました。

動画は、やる気がある日だけ作ると続きません。

「今日は何を撮ろう」と毎回考えていると続きません。

「編集に一時間かかる」と続きません。

「完璧な一本を作ろう」とすると続きません。

続けるには、型が必要です。

撮影は、営業のついでに行う

小さなお店のSNS動画は、撮影のために営業を止めてはいけません。

もちろん、しっかりした撮影日を作るのも悪くありません。

プロに撮ってもらうのも良い。

しかし、日常的なSNS動画は、営業の中で撮る方が続きます。

開店前に30秒。

仕込み中に30秒。

ランチ前に30秒。

お客様がいない席を30秒。

閉店後に30秒。

このくらいでいい。

最初から長く撮る必要はありません。

スマートフォンを構えて、10秒から20秒の素材をいくつか残す。

それだけで十分です。

大事なのは、「撮影する時間」を特別な仕事にしすぎないことです。

たとえばカフェなら、

朝、店内に光が入ったら撮る。

ケーキを並べたら撮る。

コーヒーを淹れる手元を撮る。

雨が降ったら窓際を撮る。

閉店前に空の席を撮る。

こういう小さな素材を残しておく。

その素材が、あとで動画になります。

毎日10分の基本ルーティン

では、毎日10分で何をするのか。

最初は、これだけで十分です。

0〜2分
  今日の店内を見渡す
  光、料理、仕込み、席、入口の中から一つだけ選ぶ

2〜5分
  スマートフォンで10〜15秒の動画を3本撮る
  縦向きで撮る
  余計な説明は入れない

5〜7分
  そのうち一番よい素材を選ぶ
  必要なら短く切る

7〜9分
  短いテロップを1つだけ付ける
  例:「雨の日に落ち着ける席」「今日の仕込み」「初めての方へ」

9〜10分
  Instagram、YouTube Shorts、TikTokに投稿する
  または下書き保存する

これでいい。

本当にこれでいいのです。

最初から凝った編集はいりません。

サムネイルも毎回作り込まなくていい。

BGM選びに時間をかけすぎなくていい。

10分で終わることを優先します。

なぜなら、10分で終わるなら続けられるからです。

続けられるなら、お店の情報は少しずつ蓄積されます。

蓄積されると、AIにも人間にも、お店の実体が伝わりやすくなります。

3SNS同時投稿でよい。ただし、意味を変えて見る

最初から、Instagram用、YouTube用、TikTok用に別々の動画を作ろうとしなくていい。

それは大変です。

特に小さなお店では、三媒体それぞれに専用動画を作る時間はなかなかありません。

だから、まずは同じ素材を三つに出していい。

同じ縦動画を、

Instagram Reelsへ。

YouTube Shortsへ。

TikTokへ。

この同時投稿で始める。

ただし、投稿後に見る意味を変えます。

Instagramでは、保存されたかを見る。

YouTubeでは、検討材料になったかを見る。

TikTokでは、新しい人に届いたかを見る。

同じ動画でも、各SNSで役割が変わるのです。

たとえば、店内の窓際席を撮った動画を三つに出したとします。

Instagramでは、

「ここ、保存しておこう」

となるかもしれない。

YouTubeでは、

「店内はこういう雰囲気なんだ」

という確認になるかもしれない。

TikTokでは、

「え、那須にこんな場所あるの?」

という入口になるかもしれない。

素材は同じでも、受け取られ方が違う。

だから、最初は同時投稿で十分です。

重要なのは、同じ動画を投稿しても、同じ数字で判断しないことです。

10分ルーティンを曜日で少しだけ変える

毎日まったく同じことをすると、飽きます。

そこで、曜日ごとに撮る対象だけ変えます。

月曜日
  仕込みを撮る
  目的:信頼を作る

火曜日
  商品を撮る
  目的:食べたい、試したいを作る

水曜日
  店内の空気を撮る
  目的:保存される世界観を作る

木曜日
  よくある質問に答える
  目的:不安を減らす

金曜日
  週末に向けた入口動画を撮る
  目的:衝動を作る

土曜日
  忙しい日は無理に投稿しない
  撮れたら短い素材だけ残す

日曜日
  地域や季節を撮る
  目的:場所の記憶を作る

これくらいでいい。

大切なのは、土曜日のような忙しい日に「無理に投稿しない」と決めておくことです。

飲食店なら、土日が忙しい。

美容室も、週末が忙しい。

整体やサロンも、予約が詰まる日があります。

そういう日にSNSのために本業が乱れるのは本末転倒です。

忙しい日は、撮るだけでいい。

投稿しなくてもいい。

10秒の素材を一本だけ残せば十分です。

SNS動画は、お店を助けるためにある。

お店を邪魔してはいけません。

「撮る日」と「投稿する日」を分けてもいい

毎日投稿が難しい場合は、撮る日と投稿する日を分けます。

たとえば、平日の開店前に30分だけ撮る。

その30分で、10本分の素材を撮る。

あとは、毎日10分で一本ずつ投稿する。

この方法でもいい。

月曜日の朝
  30分だけ撮影
  仕込み、商品、席、入口、手元をまとめて撮る

火曜日〜金曜日
  1日10分で編集・投稿

土日
  忙しければ投稿しない
  撮れた素材だけ残す

この方が楽なお店もあります。

毎日撮るのが向いている店もあれば、まとめ撮りが向いている店もあります。

正解は一つではありません。

大切なのは、自分のお店の営業を壊さないことです。

続けられる形が、その店にとっての正解です。

店主がやらなくてもいい部分を決める

もう一つ大事なことがあります。

全部を店主がやらなくてもいい、ということです。

店主が撮る。

スタッフが撮る。

家族が撮る。

アルバイトが撮る。

お客様に許可を得て、店内の雰囲気を撮る。

役割を分けてもいい。

たとえば、

店主は、何を伝えるかを決める。

スタッフは、手元や店内を撮る。

AIは、投稿文の下書きを作る。

店主が最後に確認して投稿する。

この流れなら、店主の負担はかなり減ります。

SNS動画は、店主が全部抱え込むものではありません。

店全体で少しずつ素材を残す。

それを、店の言葉として整える。

このくらいの感覚でいいのです。

一日一本を作ろうとしない

SNS運用でよくある誤解があります。

「毎日一本、完成動画を作らなければならない」

これは、かなり苦しいです。

毎日、企画して、撮影して、編集して、投稿する。

個人店がこれを続けるのは大変です。

最初は、完成動画を毎日作るより、素材を毎日少しずつ貯める方がいい。

動画素材の貯金を作る。

これが重要です。

月曜日:仕込みを3本撮る
火曜日:店内の空気を2本撮る
水曜日:商品を3本撮る
木曜日:Q&A用の素材を1本撮る
金曜日:店主の手元を2本撮る

こうして素材を貯めておけば、投稿はあとからできます。

忙しい日に無理して撮らなくてもいい。

雨の日の素材も、晴れの日の素材も、季節の素材も、少しずつ残っていく。

この「素材の貯金」があると、SNS運用はとても楽になります。

週に3本で十分始められる

小さなお店が最初から毎日投稿を目指す必要はありません。

まずは週に3本で十分です。

私なら、最初はこう組みます。

月曜日:保存される動画
  店内の空気、商品、季節感
  主にInstagram向け

水曜日:不安を減らす動画
  駐車場、席、注文方法、よくある質問
  主にYouTube向け

金曜日:入口になる動画
  一瞬で伝わる料理、音、動き、地域風景
  主にTikTok向け

週3本なら、現実的です。

しかも、この3本は役割が違います。

保存される動画。

計画される動画。

衝動を作る動画。

つまり、Save → Plan → Impulseを一週間の中に組み込むのです。

これなら、単なる投稿頻度ではなく、意味のある運用になります。

編集は、短く、軽く、同じ型でいい

編集で疲れる人は多いです。

凝ったテロップ。

細かいカット。

効果音。

BGM選び。

字幕。

色調整。

サムネイル。

これらを完璧にやろうとすると、すぐに続かなくなります。

最初は、編集を軽くしていい。

15秒から30秒。

テロップは1行から3行。

カットは3つまで。

BGMは固定でもいい。

フォントも固定でいい。

色も大きくいじらなくていい。

むしろ、小さなお店の場合、編集しすぎると空気が消えることがあります。

きれいにしすぎる。

速くしすぎる。

テロップを入れすぎる。

音を盛りすぎる。

すると、店の静けさがなくなる。

だから、編集は「伝わる最低限」でいい。

動画の目的は、編集技術を見せることではありません。

店の空気を届けることです。

投稿文は、AIに手伝わせていい

ここでAIを使います。

私は、AI時代のSNS動画では、AIを否定する必要はないと思っています。

むしろ、使うべきです。

ただし、AIに全部任せてはいけません。

AIに任せていいのは、整える部分です。

たとえば、

動画の内容を箇条書きで入れる。

お店の特徴を入れる。

誰に見てほしいかを入れる。

季節感を入れる。

すると、AIは投稿文の案を作れます。

ハッシュタグ案も出せます。

英語文も作れます。

Googleマップの投稿文も作れます。

しかし、最後に人間が直す。

店の言葉に戻す。

言いすぎているところを削る。

営業臭が強いところを弱める。

実際と違う表現を消す。

これが大切です。

AIは、言葉の補助輪です。

店の感性そのものではありません。

AIを使うほど、人間側の判断が大事になります。

投稿後に見る数字は、三つだけでいい

数字を見るのが苦手な店主も多いと思います。

再生数。

リーチ。

インプレッション。

保存数。

いいね数。

コメント数。

視聴維持率。

プロフィールアクセス。

フォロワー増加。

Googleマップの表示回数。

全部見ると、疲れます。

最初は三つでいい。

1. 保存されたか
2. プロフィールや地図に進んだか
3. 実際の会話に出たか

この三つです。

保存されたなら、未来の来店候補になっています。

プロフィールや地図に進んだなら、計画段階に入っています。

実際の会話に出たなら、現実に届いています。

「動画見ました」

「あれ、おいしそうでした」

「駐車場あるんですね」

「Instagramで保存してました」

「YouTubeで見て来ました」

こう言われたら、それは非常に大切なデータです。

小さなお店のSNS運用では、画面上の数字だけではなく、店頭での反応も見てください。

むしろ、店頭の一言の方が重要なことがあります。

伸びなかった動画を捨てない

SNSでは、伸びなかった動画を失敗だと思いがちです。

しかし、これは違います。

伸びなかった動画にも役割があります。

たとえば、駐車場の案内動画。

これはバズりません。

でも、初めて来る人の不安を減らします。

席の説明動画。

これもバズらないかもしれません。

でも、子ども連れや高齢の方には重要です。

店主の挨拶動画。

再生数は少ないかもしれません。

でも、信頼にはつながります。

つまり、動画には「伸びる動画」と「役に立つ動画」があります。

この二つを混同してはいけません。

小さなお店には、役に立つ動画が必要です。

バズる動画だけでは、来店前の不安は消えません。

役に立つ動画があるから、保存された感情が実際の来店に変わります。

月に一度、振り返る

SNS運用は、毎日細かく一喜一憂しない方がいい。

見るなら、月に一度で十分です。

一ヶ月の投稿を見返す。

保存された動画はどれか。

コメントが来た動画はどれか。

お客様の会話に出た動画はどれか。

Googleマップのアクセスは増えたか。

プロフィールへのアクセスは増えたか。

来店時に動画の話が出たか。

これを確認します。

そして、翌月の方針を決める。

保存が多かった動画をもう一度違う角度で撮る。

質問が多かった内容をQ&A動画にする。

来店につながった動画の型を増やす。

伸びたけれど来店と関係なさそうな動画は、やりすぎない。

この程度でいい。

SNS運用は、毎日焦るものではありません。

毎月少しずつ、店の伝わり方を整えていくものです。

自走するための最小セット

現場のお店が自走するために必要なものは、それほど多くありません。

スマートフォン
  まずはこれで十分

固定の撮影場所
  窓際、厨房、入口、カウンターなど

週3本の投稿型
  Save / Plan / Impulse

投稿文のAI補助
  ただし最後は店の言葉に直す

月1回の振り返り
  保存、地図遷移、店頭反応を見る

これだけで始められます。

最初から機材を買わなくていい。

最初から外注しなくていい。

最初から完璧な編集をしなくていい。

大事なのは、店の現場が続く形にすることです。

SNS動画は、店主を疲れさせるためのものではありません。

店の魅力を、無理なく外に出すためのものです。

この章の結論

SNS動画は、気合いで続けてはいけません。

仕組みで続ける。

営業の中で撮る。

素材を貯める。

週3本から始める。

編集は軽くする。

AIに投稿文を手伝わせる。

数字は、保存、地図遷移、店頭反応を見る。

月に一度、振り返る。

このくらいで十分です。

小さなお店に必要なのは、SNS担当者になることではありません。

お店を続けながら、店の空気を少しずつ外に届けることです。

続けられる形こそ、正しい形です。

SNS動画は、営業を壊してまでやるものではありません。

営業の中に静かに組み込まれていくものなのです。

毎日10分でいい。

三つのSNSに同じ素材を置くところからでいい。

完璧でなくていい。

お店の仕事を邪魔しないこと。

これが、AI時代の小さなお店にとって、もっとも現実的なSNS動画戦略です。