Manifesto思想Frameworks理論Labs実験室Research調査Fieldwork現場Books書籍About著者EN

第11章

第11章 再生数より、来店前の会話を見る

SNSを始めると、どうしても数字が気になります。

Amazon Kindleで読む(リンク準備中)

SNSの数字は、わかりやすいから危ない

SNSを始めると、どうしても数字が気になります。

再生数。

いいね数。

フォロワー数。

コメント数。

リーチ数。

インプレッション数。

これらは、画面に大きく表示されます。

増えると嬉しい。

減ると落ち込む。

一万再生されると、成功した気がする。

百再生だと、失敗した気がする。

この感覚は自然です。

しかし、小さなお店のSNS動画では、数字だけを見ると判断を間違えます。

なぜなら、再生数が多い動画が、必ずしも来店につながるとは限らないからです。

逆に、再生数が少ない動画でも、非常に大切な役割を果たしていることがあります。

たとえば、駐車場案内の動画。

これはバズりにくい。

しかし、初めて来る人には大事です。

子ども連れでも入りやすいかを説明する動画。

これも大きく伸びないかもしれません。

でも、親子連れの不安を減らします。

店主の短い挨拶動画。

再生数は少ないかもしれません。

でも、「この人のお店なら行ってみたい」と思う人がいる。

つまり、小さなお店のSNS動画では、

伸びる動画と、効く動画は違うのです。

来店前の会話が生まれているか

私が大事だと思うのは、来店前の会話です。

SNS動画が本当に効いているとき、画面の外で会話が生まれます。

「ここ、行ってみない?」

「この前保存したカフェ、那須にあるみたい」

「駐車場あるらしいよ」

「動画で見た席、よさそうだった」

「子ども連れでも大丈夫そう」

「このお店、店主さんの感じが良さそう」

「週末ここにしようか」

こういう会話です。

この会話は、SNSの管理画面には出てきません。

でも、実際の来店には大きく関係しています。

特に地方のお店では、来店は一人の判断だけで決まらないことが多い。

家族で行く。

夫婦で行く。

友人と行く。

恋人と行く。

旅行の同行者と相談する。

そのときに、動画が会話の材料になる。

これが重要です。

動画は、単に情報を届けるものではありません。

来店前の会話を作るものです。

店頭で出る一言は、最高のデータである

小さなお店にとって、もっとも大切なデータのひとつは、店頭でのお客様の一言です。

「Instagramで見ました」

「YouTubeで見て来ました」

「TikTokで流れてきました」

「動画で見たメニューを食べに来ました」

「駐車場があるとわかったので来ました」

「この席、動画で見ました」

「那須に来る前に保存していました」

これは、非常に大事なデータです。

Googleアナリティクスよりも、広告管理画面よりも、場合によっては重要です。

なぜなら、その一言には、SNS動画が現実の来店に接続した証拠が含まれているからです。

もちろん、厳密な計測ではありません。

すべてを数値化できるわけではありません。

しかし、小さなお店は、巨大企業のような複雑な分析をしなくてもいい。

お客様の言葉を聞く。

どの動画を見たのか聞く。

何が決め手になったのか聞く。

これだけで、非常に多くのことがわかります。

店頭の一言は、現場のアクセス解析です。

見るべき指標は、三層に分ける

では、まったく数字を見なくていいのか。

そうではありません。

数字は見ます。

ただし、見るべき数字を三層に分けます。

第1層:反応の数字
  再生数
  いいね
  コメント
  フォロワー増加

第2層:検討の数字
  保存数
  プロフィールアクセス
  Googleマップへの遷移
  URLクリック

第3層:現実の反応
  店頭での一言
  問い合わせ
  予約
  来店
  リピート

多くの人は、第1層だけを見ます。

再生数が伸びた。

いいねが多い。

フォロワーが増えた。

もちろん、それも大切です。

しかし、小さなお店では第2層と第3層の方が重要です。

保存されたか。

プロフィールを見たか。

地図を開いたか。

実際に店で話題に出たか。

来店につながったか。

この流れを見ます。

再生数は入口です。

保存は記憶です。

地図遷移は計画です。

店頭の一言は現実です。

この順番で見ると、SNS動画の成果がかなり見えやすくなります。

保存数は、小さなお店にとって重要な指標である

Instagramでは、保存数をかなり重視していいと思います。

保存は、いいねより深い反応です。

いいねは、その場の反応。

保存は、未来への反応。

「あとで見たい」

「いつか行きたい」

「候補に入れたい」

「誰かに見せたい」

この感情が保存です。

特にカフェ、飲食店、美容室、サロン、観光地、宿泊、体験型サービスでは、保存は非常に重要です。

すぐに買われる商品ではなく、後日選ばれるサービスだからです。

動画が保存されているなら、その動画は人の未来に入り込んでいます。

これは大きい。

だから、再生数が少なくても保存率が高い動画は大切にしてください。

その動画には、その店に合う人が反応している可能性があります。

Googleマップへの遷移を見る

地域店舗の場合、SNS動画のゴールのひとつはGoogleマップです。

プロフィールを見て、地図を開く。

ルートを調べる。

営業時間を見る。

口コミを見る。

電話する。

予約する。

この動きがあるなら、動画はかなり現実に近づいています。

特に那須のような車移動地域では、Googleマップは非常に重要でした。

観光客は、SNSで気になったあとに地図を見ます。

距離を見る。

ルートを見る。

駐車場を確認する。

他の予定との位置関係を見る。

ここで不安が減れば、来店候補になります。

だから、SNSプロフィールにはGoogleマップへの導線を整えておくべきです。

店名で検索して迷わないようにする。

営業時間を正しくする。

定休日を更新する。

写真を入れる。

口コミに返信する。

駐車場情報を書く。

SNS動画とGoogleマップは、別々のものではありません。

SNSで感情が動き、Googleマップで現実の計画になる。

この接続が大切です。

「動画を見ました」は、聞き逃してはいけない

お客様が「動画を見ました」と言ったら、できれば一言だけ聞いてみてください。

「どの動画でしたか?」

「Instagramでしたか? YouTubeでしたか? TikTokでしたか?」

「何が気になりましたか?」

この質問は、押しつけにならない範囲で構いません。

会話の流れで聞けるときだけでいい。

しかし、これを聞くと非常に学びがあります。

自分では何気なく出した動画が、来店の決め手になっていることがあります。

バズらなかった動画が、実は効いていることがあります。

派手な商品動画ではなく、駐車場や入口の動画が安心材料になっていることもあります。

店主の手元が印象に残っていることもあります。

店内の静けさが決め手になっていることもあります。

これは、管理画面ではわかりません。

現場でしかわからない。

だから、店頭での一言は聞き逃してはいけません。

伸びた理由より、来た理由を考える

SNS運用では、つい「なぜ伸びたのか」を考えます。

もちろん、それも大切です。

しかし、小さなお店では「なぜ来たのか」を考える方が大切です。

伸びた理由。

来た理由。

この二つは違います。

動画が伸びた理由は、

音が良かった。

テンポが良かった。

サムネイルが強かった。

珍しい商品だった。

たまたまアルゴリズムに乗った。

ということかもしれません。

でも、来た理由は、

安心できそうだった。

自分に合いそうだった。

駐車場がわかった。

店主の雰囲気が良かった。

子ども連れでも大丈夫そうだった。

友人に送ったら反応が良かった。

ということかもしれません。

この差を見ます。

小さなお店のSNS動画は、伸びた理由より、来た理由を大切にするべきです。

月次振り返りシート

現場で使いやすいように、簡単な月次振り返りシートを作るなら、これで十分です。

今月一番再生された動画:

今月一番保存された動画:

今月一番コメントが多かった動画:

店頭で話題に出た動画:

Googleマップや予約につながった感覚がある動画:

来店したお客様から聞いた言葉:

来月もう一度撮るべき型:

来月やめてもよい型:

このくらいなら、月に一度、10分から15分でできます。

大切なのは、細かく分析しすぎないことです。

数字を見て、現場の声と照らす。

そして、翌月の撮影に反映する。

それだけで十分です。

この章の結論

小さなお店のSNS動画では、再生数だけを見てはいけません。

再生数は、入口です。

保存は、記憶です。

プロフィールアクセスやGoogleマップ遷移は、計画です。

店頭での一言は、現実です。

そして、来店やリピートが本当の成果です。

大切なのは、画面の中の数字だけではありません。

画面の外で、どんな会話が生まれたか。

お客様が何を見て来たのか。

何に安心したのか。

何を保存したのか。

どの動画が、実際の移動につながったのか。

そこを見る。

再生数より、来店前の会話を見る。

これが、小さなお店のSNS動画で本当に大切な成果指標です。